空港に物産店を作った話
Gandhi(ガンディー)@南米エクアドルのコーヒー農園です。
嬉しい事があったので報告を。
先日のブログで、任地のコーヒーが空港で販売開始されたと書きましたが、事態は想定を超えるものとなっていました。
現状をお伝えする前に、これまでの状況を整理します。
空港でコーヒーを販売にいたるまで。
マナビ県には、マンタ空港という主要な交通拠点があります。
バスで10時間かかるキトまでの道のりをたった1時間で結んでしまう超強力な交通の要所です。
ただ、飛行機の運賃はバスの5倍以上するので、一般の人々は利用しません。
お金持ちや忙しいビジネスマン、政治家などの有力者、在住外国人が多く利用します。
この客層は、国民のほとんどがインスタントコーヒーしか飲まないエクアドルで、唯一ドリップコーヒーの価値を理解している層でもあります。
つまり、ここでプロモーションしないでどうするんだ、って話だったんです。
しかし、空港にはしょっっぼい売店があっただけ。
小さなお土産すら売ってない状況でした。
1年前に訪問するも撃沈
遡ること1年前。
コーヒー生産組合の同僚を説得して、空港に営業に行きました。
しかし、空港の販売責任者につないでもらうことはできず、宣伝ポスターを貼るのみで終わってしまいました。
それでもちょっとは宣伝にはなったとは思うけど。。
しょっっぼい売店のお姉さんが笑顔で話を聞いてくれましたが、結局彼女にビジネスの権利はなく、話がそのまま流れてしまいました。
この国では、「上司と相談しておきます」=「面白そうだけど、私には扱えません」という意味だと分かりました。
たぶん、上司に僕たちが来たことすら話していないでしょう。
同じ任地に来たボランティア仲間とのコラボが実現
半ばあきらめていたとき、勝機が訪れました。
同じマナビ県庁に配属になったボランティア仲間Nさんが、人気喫茶店や主要ガソリンスタンドなど人々が多く訪れる場所にマナビ商品を陳列するというプロジェクトを立ち上げたのです。
僕はコーヒー組合に入り込んで活動をしている一方、Nさんは県庁のオフィスで全生産者向けの施策を展開する活動をしていたのですが、そのうちの一つのプロジェクトでした。
Nさんはとても面白い人だったので、すぐに仲良くなりました。
気付けば、Nさんのプロジェクトを僕とコーヒー組合の同僚が生産者の立場からサポートするという理想的なホットラインが出来上がっていました。
日本人はチームになるとめっぽう強い。
そして、その一環として空港にもマナビ商品陳列棚を置こうという話になりました。
しかし、県庁はなかなか動いてくれず、、自分たちで飛び込み営業
しかし、肝心の県庁のエクアドル上司が行動に移してくれませんでした。
空港は管轄が違うため、県庁として手が出しにくかったのだと思います。
そこで諦めないのが青年海外協力隊。
空港を利用するタイミングで、このプロジェクトについて、しょっっぼい売店のおばちゃんに話をもちかけてみたのです。
(実は、たまたまNさんも同じ日の違う時間におばちゃんにアタックしていました。)
おばちゃんにマナビの主要交通拠点にマナビ生産物を置く意味、生産者たちの想い、マナビのコーヒー豆を買ってくれるのは空港を利用する層、など、持論と熱い想いをぶつけました。
実はこのおばちゃんが空港売店の責任者であり、後日正式に話し合いの場を設けてもらえることになりました。
あとあとおばちゃんが、
「私はあなたの熱い想いに感銘を受けたから正式に話を聞く気になったのよ」
と言ってくれたのがマジで嬉しかった。
県庁の上司も手伝ってくれた結果
Nさんは空港だけでなく、色々なカフェのオーナーやターミナルの売店などに飛び込み営業をするなど、熱意をもって活動していました。
そんな不断の行動(と説得と幾度もの催促。。)の結果、県庁の上司も彼の活動を認めるようになり、生産者と商品を陳列する場所のオーナーの顔合わせの場を作ってくれました。
もちろん、空港のおばちゃんも呼びました。
その会に、僕の活動先のコーヒー生産組合の同僚も参加させてもらいました。
各生産者が自分の製品のプロモーションをしていくという機会もあったのですが、コーヒー組合の同僚が要点をまとめて説明してくれました。
去年パッケージデザインを手伝った際、自分たちが消費者に伝えたい点を3つ絞ってもらっていたのがここへ来て効いていた模様。(こういうのも結構嬉しい。)
この説明が空港の販売担当者の目に留まり、活動先のコーヒーを是非空港で販売したいと思わせる事に成功したのです。
空港から発注が相次ぐ
その後、空港からコーヒーの発注が相次ぎました。
想定以上に売れてる。。という素直な感想。
しかし、しょっっぼい売店でとりあえずコーヒーだけ売ってもらっているものだと思っていました。
空港に新しくマナビ物産店ができた
久しぶりにマンタ空港を利用してビックリ。
僕とNさんの想いがつまった空港待合室がこちら。
これ、すごくないですか?
正直想定以上のお洒落な物産店ができていました。
そして、おばちゃんが僕に告げた一言。
「君たちの夢を実現させたよ」
いつもは恐怖を覚えながら乗るオンボロのプロペラ機も、この日ばかりは「ま、死んでもいっか」と思って乗れたのでした。
本当に、この2年間で一番嬉しかった。
自分の行動や想いが形になるってこんなに嬉しいことなのか。
ちょっと頑張って仕事したくなったよ。
傍からみたら大したことないかもしれないけど、自分の中ですごく嬉しかったのでブログに書いてしまいました。
そして今日も、空港からコーヒーの追加発注がありました。めっちゃ売れてるやん!
みなさん、マンタ空港ご利用の際は是非コーヒーをお求めください。
ではでは!
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